ヨーロッパ文化遺産の日にパリ市庁舎を見学|普段は入れない広間・市議会・市長室へ

パリの中心部を歩いていると、何度も目にする壮麗なパリ市庁舎、オテル・ド・ヴィル。

美しいネオ・ルネサンス様式の建物は、パリ観光の途中で外観を眺めたことがある方も多いのではないでしょうか。

パリ市庁舎は美術館のように、いつでも自由に内部を見学できる場所ではありません。

ここは現在も、パリという大都市の行政を担う重要な建物です。

2024年9月、私はヨーロッパ文化遺産の日に、パリ市庁舎の内部を見学することができました。

ヨーロッパ文化遺産の日のサイトから事前に予約し、普段はなかなか入ることのできない建物の中へ。

今回の見学コースでは、華やかな広間をはじめ、パリ市議会が開かれる議場、市長室、特別展示のコーナー、そして美しい図書館まで訪れることができました。

外から何度も見ていた建物の内部には、華やかな歴史だけでなく、現在も続くパリ市政の日常がありました。

この記事では、2024年9月に私が実際に訪問したパリ市庁舎を詳しくご紹介します。

※この記事は2024年9月に開催されたヨーロッパ文化遺産の日の訪問記です。公開内容や予約方法は年によって変更されるため、最新情報は公式サイトをご確認ください。

目次

パリ市庁舎(Hôtel de Ville)とは?

パリ市庁舎、オテル・ド・ヴィルは、パリ市政の中心となる建物です。

パリ市長の執務室があり、パリ市議会が開かれ、行政に関わるさまざまな仕事が行われています。

この場所とパリの行政との関わりは非常に古く、中世からパリ市政の中心的な役割を担ってきました。

しかし、現在私たちが目にする壮麗な建物は、長い歴史の中で何度も変化を経験しています。

特に大きな出来事が起こったのが1871年です。

パリ・コミューンの時代、市庁舎は火災によって大きな被害を受けました。

建物だけでなく、内部にあった貴重な資料や図書館の蔵書も失われます。

現在のパリ市庁舎は、その後に再建されたものです。

再建工事は19世紀後半に進められ、1882年に現在の建物が完成しました。

華やかな装飾や彫刻を見ていると、かつてこの場所が大きな火災によって失われたことを想像するのは簡単ではありません。

だからこそ、その歴史を知ってから建物の中を歩くと、パリ市庁舎は単なる美しい建築ではなく、パリの歴史とともに失われ、そして再び築かれてきた場所なのだと感じます。

ヨーロッパ文化遺産の日とは?

今回パリ市庁舎を見学するきっかけになったのが、ヨーロッパ文化遺産の日です。

毎年秋に開催されるこのイベントでは、フランスをはじめヨーロッパ各地で、歴史的建造物や文化施設などが特別に公開されます。

このイベントの魅力は、普段は自由に入ることのできない場所を見学できることです。

美術館や観光名所だけでなく、

  • 行政機関
  • 歴史的な建物
  • 大学
  • 図書館
  • 普段は非公開の文化施設

などが公開されることもあります。

パリには、有名な観光スポットだけではなく、外から眺めているだけでは分からない歴史的な建物が数多くあります。

ヨーロッパ文化遺産の日は、そんな「普段は扉の向こう側を見ることができない場所」に入ることのできる特別な機会です。

私もこの機会を利用して、以前から一度内部を見てみたいと思っていたパリ市庁舎を予約しました。

パリ市庁舎の見学方法

2024年のパリ市庁舎見学では、事前予約をして内部に入りました。

ヨーロッパ文化遺産の日のプログラムサイトから、パリ市庁舎の公開情報を探し、希望する時間帯を選んで予約しました。

パリ市庁舎は事前予約をしていなくても、当日に列に並べば内部に入ることも出来ました。

2024年の見学コース

私が参加した見学では、パリ市庁舎の中でも特に印象的な場所を巡ることができました。

主な見学場所は、

  • 華やかな広間
  • パリ市議会の議場
  • 市長室
  • 特別展示コーナー
  • 図書館

でした。

単に歴史的な建物を歩くだけではなく、現在も使われているパリ市政の空間を見ることができたのが印象的でした。

いよいよパリ市庁舎の内部へ

予約した時間に合わせて、パリ市庁舎へ向かいました。

オテル・ド・ヴィル駅周辺は、パリ滞在中に何度も訪れたことのある場所ですが、内部に入ると、外観から想像していた以上に華やかな空間が広がっていました。

今回の見学では、歴史的なレセプションルームだけではなく、市政の中心となる場所まで見ることができました。

建物の中を進むにつれて、

華やかなパリの歴史

と、

現在も動き続けているパリという都市

の両方が見えてくるようでした。

華やかな広間|パリ市庁舎の壮麗な空間

パリ市庁舎の内部でまず印象に残るのが、華やかな広間です。

天井を見上げると、美しい装飾や絵画が目に入ります。

広々とした空間にはシャンデリアがあり、細部まで装飾が施されています。

一歩足を踏み入れると、ここが現在も行政機関として使われている建物だということを、一瞬忘れてしまいそうになります。

パリ市庁舎には、公式のレセプションや行事などで使われる複数のサロンがあります。

国内外からゲストを迎える場所でもあり、パリという都市を代表する公式空間でもあります。

そのため、単に豪華な部屋というだけではありません。

ここは、パリが公式な場で人々を迎える場所でもあるのです。

実際に歩いてみると、部屋ごとに少しずつ雰囲気が異なります。

天井、壁、照明、装飾。

一つひとつを眺めながら歩いていると、細かな部分まで見たくなりました。

華やかな空間でありながら、現在も市政や公式行事に使われている。

そのことが、とても印象的でした。

美しい歴史的建築と、現在のパリ市政

パリ市庁舎を訪れる前、私は華やかな内部を見ることを一番楽しみにしていました。

もちろん、実際に見た広間は期待以上に印象的でした。

しかし見学を進めるうちに、私がより興味深く感じるようになったのは、

ここが単なる歴史的建築ではないということでした。

建物の中には、過去の歴史を伝える美しい広間だけでなく、

  • 現在も市議会が開かれる議場
  • 市長の執務室
  • 専門的な資料を所蔵する図書館

があります。

つまり、パリ市庁舎は「過去を保存して見せる場所」だけではありません。

今もパリという都市を動かすための場所なのです。

そのことを最も強く感じたのが、パリ市議会の議場でした。

パリ市議会(Conseil de Paris)の議場を見学

見学コースでは、パリ市議会が開かれる議場も見ることができました。

華やかなレセプションルームとは、また違った荘厳な印象を受ける空間です。

ここは実際に、パリの市政に関する重要な議論が行われる場所です。

住居、交通、教育、環境、都市計画など、日々の生活に関わるさまざまな課題があります。

この議場では、そうしたパリという都市に関わる議論が行われています。

美しい歴史的建築の中にあるため、最初は空間そのものに目が向きます。

しかし、

「ここで現在のパリについて話し合われているのだ」

と考えると、見え方が変わってきました。

観光地としてのパリではなく、現在も多くの人が暮らす巨大な都市としてのパリ。

その一面を少し知ることができたように感じました。

ヨーロッパ文化遺産の日だからこそ、こうした場所を訪れることができたのだと思います。

普段はなかなか入れない市長室へ

今回の見学では、市長室も訪れることができました。

パリ市長の執務室というと、普段の旅行ではもちろん訪れることのない場所です。

「市長室」と聞くだけで、少し遠い世界のようにも感じます。

実際にその場所を見ることで、

ここでパリ市の仕事が行われているのだ

と、パリという都市が少し身近に感じられました。

華やかな歴史的サロンとは異なり、こちらは現在のパリ市政と直接つながる空間です。

パリ市庁舎の中には、

過去を伝える場所と、

現在の仕事が行われる場所が、

自然に共存しています。

その両方を見ることができたのが、今回の見学の大きな魅力でした。

普段、美術館や歴史的建築を訪れることが多い私にとって、現在も行政の中枢として使われている歴史的な建物を見学するのは、とても新鮮な体験でした。

ヨーロッパ文化遺産の日ならではの特別コーナー

今回の見学では、通常の建物見学だけではなく、ヨーロッパ文化遺産の日に合わせた特別な展示コーナーもありました。

文化遺産の日には、建物そのものを公開するだけでなく、その年のテーマに合わせた企画や展示が行われることがあります。

2024年の訪問でも、通常の見学とは少し異なる特別なコーナーを見ることができました。

こうした展示があるのも、ヨーロッパ文化遺産の日の面白いところです。

建築を見るだけではなく、

  • 歴史
  • 文化
  • 現在の社会
  • その年に設定されたテーマ

など、さまざまな角度から場所を知ることができます。

今回のパリ市庁舎見学も、一つの建物を巡っているようで、実際にはさまざまなテーマに触れる時間でした。

華やかな広間だけを見るのではなく、現在の行政や特別展示にも目を向けることで、パリ市庁舎という場所をより立体的に知ることができたと思います。

パリ市庁舎の図書館へ

今回の見学で、特に楽しみにしていた場所の一つが図書館でした。

パリ市庁舎の図書館は、美しい歴史的空間としても知られています。

実際に中へ入ると、まず空間の広がりと高い天井に目を奪われました。

華やかな広間とはまた違った美しさがあります。

木を思わせる温かみのある内装。

高い位置から入る自然光。

静かな読書空間。

ここは、「しばらくこの場所で本を読んでいたい」と思わせるような雰囲気でした。

市庁舎の中にある図書館と聞くと、行政資料を保管する場所というイメージを持つかもしれません。

もちろん、専門的な資料を所蔵する重要な図書館でもあります。

しかし、実際にこの空間を見ると、建築そのものにも大きな魅力があることが分かります。

一度失われたパリ市庁舎の図書館

この図書館には、パリ市庁舎と同じく、失われた歴史があります。

1871年の火災では、市庁舎だけでなく、図書館の蔵書も大きな被害を受けました。

貴重な書物や資料が失われてしまったのです。

その後、市庁舎の再建とともに、図書館も新たにつくられていきました。

現在の図書館は、失われたものを再び築き上げた場所でもあります。

この背景を知ってから内部を見ると、

「美しい図書館だった」

というだけでは終わりません。

一度すべてを失いながらも、その後に資料を集め、新しい図書館として再建された。

パリ市庁舎そのものの歴史と、図書館の歴史が重なっています。

建物の美しさだけでなく、その場所がどのような歴史を経て現在に至ったのかを知る。

それもまた、歴史的建築を訪れる楽しさだと思います。

美しい図書館建築にも注目

現在の読書室は、19世紀後半につくられた美しい空間です。

一見すると、伝統的な木造建築のような温かみを感じます。

しかし、建築には当時の近代的な技術も取り入れられています。

金属の構造を使いながら、それを装飾的に見せることで、独特の雰囲気がつくられています。

高い位置から自然光が入る読書室は、広々とした空間です。

図書館として実際に使うための機能性と、19世紀らしい美しい装飾が共存しています。

美術館を訪れると、絵画や彫刻に目が向きます。

けれど、歴史的な図書館では、建築そのものを一つの作品のように眺める楽しさがあります。

天井を見上げる。

光の入り方を見る。

書架を見る。

空間全体を少し離れたところから眺める。

そんな時間も、この図書館では楽しみの一つでした。

現在も使われる専門図書館

パリ市庁舎の図書館は、現在も専門図書館としての役割を担っています。

歴史や社会科学、法律、政治、経済、パリに関する資料など、多くの資料を所蔵しています。

旅行者として訪れた私にとっては、美しい読書室という印象が強く残りました。

けれど、ここは単なる観光施設ではありません。

現在も資料を守り、利用者を受け入れている図書館です。

フランスには、美しい歴史的建築の中で、現在も本来の役割を果たしている場所が数多くあります。

パリ市庁舎の図書館も、その一つです。

過去の建物を保存するだけではなく、現在の人々が使い続ける。

そんな過去と現在の共存を感じることができる場所でした。

パリ市庁舎を見学して感じたこと

今回、パリ市庁舎を見学して一番印象に残ったのは、一つの建物の中に、さまざまな時間が存在していたことです。

華やかな広間を歩いていると、19世紀のパリにいるような気持ちになります。

天井の装飾や絵画、シャンデリアを眺めていると、ここが現在も行政機関として使われていることを忘れてしまいそうです。

しかし、市議会の議場へ進むと、ここは現在のパリを動かすための場所だと実感します。

市長室も同じです。

そして図書館では、1871年の火災によって失われた過去と、その後に再建された歴史を知ることができます。

パリ市庁舎は、

歴史的建造物であり、

行政の中心であり、

文化を受け継ぐ場所でもある。

そのすべてを一度に感じることができました。

外から建物を眺めているだけでは、きっと分からなかったことです。

だからこそ、ヨーロッパ文化遺産の日のように、普段は入れない場所が開かれる機会はとても貴重だと思います。

まとめ|パリの歴史と現在が交差する場所

パリ市庁舎は、外から見るだけでも印象的な建物です。

何度も前を通ったことがあっても、その内部がどのようになっているのかを知る機会は多くありません。

2024年9月、ヨーロッパ文化遺産の日に実際に中へ入ると、そこには想像していた以上に多彩な空間が広がっていました。

華やかな広間。

パリ市議会の議場。

市長室。

そして、歴史を受け継ぐ美しい図書館。

一つの建物の中に、パリの過去と現在が同時に存在していました。

1871年の火災によって失われ、その後に再建された建物。

そして今も、パリという都市を動かす場所として使われ続けています。

パリには、美しい歴史的建築が数多くあります。

けれど、現在も現役で使われている歴史的建築の中に入り、その場所の過去と現在の両方を感じられる機会は、そう多くありません。

ヨーロッパ文化遺産の日は、そんな普段は見えないパリに出会える特別な機会です。

有名な観光名所を巡るだけでは出会えない、もう一つのパリ。

2024年9月にパリ市庁舎を訪れたことで、私にとってもパリの見え方がまた少し変わりました。

次に9月のパリを訪れる機会があれば、ぜひヨーロッパ文化遺産の日のプログラムをチェックしてみてください。

外から眺めていた建物の扉の向こうに、思いがけない歴史や文化が待っているかもしれません。

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この記事を書いた人

仏日翻訳・字幕翻訳者。日本を拠点に、ときどきフランスへ。仏大学で西洋史を専攻し、『大人の学び』を続けています。旅と美術、歴史を通してフランスの物語を綴っています。フランス各地で出会った美しい風景と記憶をお届けします。

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