【ローマから日帰り】古代ローマの港町を歩く:オスティア・アンティカ遺跡訪問記

ローマ滞在の際に、古代ローマの港町オスティア・アンティカへ行って来ました。

ローマ中心部の喧騒を離れて、ほんの30分。そこに広がるのは、2000年前の古代ローマの港町オスティア・アンティカ遺跡。海とローマを結んだこの町は、かつて商業で栄え、浴場や劇場、市場まで備えた活気ある港でした。

この記事では、オスティア・アンティカ遺跡の様子や見どころをシェアしたいと思います。

観光客も少なく、ローマから気軽に行ける古代ローマ時代の遺跡です。古代ローマに興味がある方もポンペイ遺跡まで行く時間が取れない方にもおすすめの観光スポットです。ぜひ一度は足を運んでみてください。

目次

オスティア・アンティカとは?ローマ郊外の古代港町

かつてティベリス川の河口に位置し、ローマ帝国の主要な港として栄えたオスティア。

紀元前4世紀にはすでに交易都市として機能しており、最盛期には約5万人が暮らしていたといわれます。

浴場、劇場、市場、集合住宅などがほぼ当時の姿で残っており、ローマ市内のフォロ・ロマーノとはまた違う「古代の日常」を感じられるのが魅力です。

【アクセス】ローマから電車で行くオスティア・アンティカ遺跡への行き方

ローマ市内からのアクセスはとても簡単です。

  • 出発駅:ピラミデ駅(Piramide)
  • 路線:Roma-Lido線(ローマ・リド線)
  • 下車駅:Ostia Antica駅
  • 所要時間:約30分
  • 運賃:片道1.5ユーロ(メトロの共通チケットでOK)

駅を出て歩道橋を渡り、住宅街を抜けると遺跡入口が見えてきます。

歩いておよそ10分、途中に小さなカフェやトイレもあります。

遺跡の入り口

オスティア・アンティカ遺跡の必見スポットと効率的な巡り方

デクマヌス・マクシムス—古代ローマのメインストリート

入場ゲートを抜けると、目の前に広がるのがデクマヌス・マクシムス(Decumanus Maximus)。

まっすぐに伸びる石畳の大通りの両脇には、商店跡や倉庫、住居が並びます。

かつては船で運ばれた荷物がここを通り、市場へと運ばれていたそう。

静寂の中でその喧噪を想像すると、まるで時間が巻き戻ったような感覚に。

2000年前に使われていた井戸

円形劇場—古代ローマのエンターテインメント空間

2世紀に建てられた円形劇場は、約4000人を収容できたと言われます。

座席に腰を下ろすと、眼前にはフォルム(広場)と列柱の跡が広がり、古代ローマ人が笑い、涙し、拍手を送った光景が目に浮かびます。

おすすめ撮影ポイント:上段の座席から見下ろす風景は、遺跡全体を一望できるベストスポット!

ネプチューン浴場—モザイクが語る美の世界

Terme di Nettuno(ネプチューン浴場)は、オスティアで最も有名な建物のひとつ。

白と黒のモザイクで描かれた海神ネプチューンとイルカたちが、今も美しく残っています。

公共浴場には、冷浴室・温浴室・サウナのような部屋が並び、人々が語り合い、くつろぐ社交の場でした。

サウナ室

オスティアにはネプチューン浴場以外にも、「フォロ浴場」や「七賢人の浴場」など複数の温浴施設が残っています。

壁や床の装飾が今も残り、古代ローマ人の豊かな日常生活を想像させます。

市場跡と居酒屋跡:活気ある港町の名残

フォロ(広場)を中心に、市場(マルクト)や居酒屋(タベルナ)の跡も残っています。

店先にはカウンターの石造りの台が並び、当時はパンやワイン、オリーブオイルが取引されていたといいます。

壁には今も商品を示すモザイクが残っており、古代ローマ人の商才と生活の豊かさを垣間見ることができます。

市場跡 モザイク画が看板代わり
小麦のモザイク画
船のモザイク画
パン屋跡
たくさんのアンフォラが!
古代ローマの居酒屋
居酒屋の床のモザイク画もオシャレ
居酒屋の店内

キューピッドとプシケの家(Domus di Amore e Psiche)

フォロ(広場)の北側にある富裕層の邸宅跡。白い大理石像「キューピッドとプシケ(愛の神と人間の娘)」が発見されたことで有名です。繊細なモザイク床や柱の装飾から、上流階級の暮らしぶりがうかがえます。

美しいキューピッド像
広々とした一軒家

フォロ遺跡の公共トイレ—古代の水洗式!

フォロ(広場)近くで見逃せないのが、古代ローマの公共トイレ跡です。

石造りのベンチに丸い穴が並び、足元には排水溝が。そこに水が流れ、なんと2000年前から“水洗式”の仕組みが使われていました。当時は共同トイレで、人々が並んで談笑しながら用を足していたとか。

実際に見ると、古代ローマ人の衛生技術の高さに驚かされます。

古代ローマの水洗トイレ

2階建ての集合住宅「インスラ」:古代の暮らしを想像して

オスティアでは、インスラと呼ばれる2階建ての集合住宅も見学できます。

石造りの階段や中庭が残っており、古代ローマの庶民がどんな暮らしをしていたのかを感じられる貴重な場所。

上階には木製の床があったそうで、まさに当時の“アパートメント”です。

ローマ市内の遺跡では見られない、生活感のある空間に惹かれました。

2階に上がれるインスラも見つけました!
インスラの屋上からの眺め

まとめ:喧騒を離れ、古代の港町で過ごす穏やかな時間

オスティア・アンティカは、華やかさこそ控えめですが、古代ローマ人の「日常」に触れられる特別な場所。

円形劇場で感じる息づかい、浴場や市場に残る生活の名残・・・すべてがリアルで、温かい。

ローマ中心部からたった30分の距離で、まるで2000年前の時間が止まったかのような空間に出会える—そんな、心に残る遺跡でした。

オスティア・アンティカ遺跡の実用情報

アクセス方法(ローマからの行き方)

出発駅:ピラミデ駅(Piramide) ※地下鉄B線の「テルミニ駅」から2駅目。

乗車路線:Roma–Lido線(ローマ〜リド線)

降車駅:Ostia Antica(オスティア・アンティカ)駅

所要時間:約30分

料金:片道 €1.50(ローマ市内共通チケット使用可)

徒歩:駅から遺跡入口まで約10分(歩道橋を渡るとすぐ案内板あり)

ポイント:帰りの電車は本数が少ない時間帯もあるので、16時過ぎには遺跡を出るのがおすすめ。

営業時間・定休日

開場時間:9:00〜16:30(最終入場15:30頃)

休館日:月曜日、1月1日、5月1日、12月25日

見学所要時間:約3〜4時間(ローマ往復を含め半日〜1日コースに最適)

チケット情報

入場料:大人 €12(2025年時点)

18歳未満: 無料

購入方法:当日券またはオンラインで購入可能(公式サイト/ticketone.it)

※ローマ・パス(Roma Pass)やArcheologia Cardの対象にはなっていません。

設備・サービス

カフェ・レストラン:遺跡入口付近に1軒あり(軽食・ジェラート・コーヒー)

トイレ:入り口と遺跡内の数カ所にあり

ショップ:チケット売り場横に小さな土産ショップあり

Wi-Fi:なし(SIMまたはオフラインマップ推奨)

バリアフリー:主要部分は舗装道あり、全域はやや段差多め

見学のコツ

  • 歩きやすい靴必須! 遺跡内は石畳が多く、滑りやすい箇所もあります。
  • 日よけグッズを忘れずに 夏場は日陰が少ないため、帽子・サングラス・水は必須。
  • トイレは入口で済ませておくと安心。 内部にもあるが、場所が限られています。
  • Googleマップが使えない場合に備え、紙の地図をもらうと便利。

オスティア・アンティカ遺跡訪問のまとめ

オスティア・アンティカ遺跡はローマから気軽にいける観光スポットです。

古代ローマ時代の町がそのまま残っている貴重な場所。

とてもおすすめの場所ですので、ぜひ行ってみてください。

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この記事を書いた人

日本在住の30代。フランス語の通訳・翻訳・日本語講師。フランスの国立大学の歴史学部に在学中。当ブログでは、フランスの旅行・歴史・語学に関する情報を配信しています。海外一人旅歴19年。これまでに30カ国・100都市以上を巡る。フランスは60以上の街や村を訪問。

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