【フランス地方都市巡り・パリ郊外編】サン=ジェルマン=アン=レー─王のテラスから望む静かな丘

フランス地方都市巡りシリーズ・パリ郊外編 Vol.2

パリから少し足をのばすと、喧騒を離れた丘の上に、静かで美しい街──サン=ジェルマン=アン=レーがあります。

王の城のテラスからはセーヌ川の向こうに広がるパリの街並みが一望でき、芸術家モーリス・ドニや作曲家クロード・ドビュッシーの足跡が残る街でもあります。

フランス地方都市巡りシリーズ・パリ郊外編では、パリから日帰りで訪ねられる街を中心に、建築、芸術、そしてその土地の雰囲気を旅の記録としてお届けします。

目次

パリから日帰りで訪ねる、王の街

サン=ジェルマン=アン=レーへは、パリ中心部からRER A線でおよそ40分。

列車を降りると、すぐ目の前に歴史的な建物が並ぶ穏やかな街並みが広がります。

かつてこの街は、フランス王の居城が置かれた場所。

ヴェルサイユが建設される前、太陽王ルイ14世も幼少期をここで過ごしたといわれています。

街の中心にそびえるのは、サン=ジェルマン=アン=レー城(Château de Saint-Germain-en-Laye)。

現在は国立考古学博物館として公開され、古代ガロ=ロマン時代から中世にかけての出土品を展示しています。

重厚な石造りの外観と、長い年月を感じさせる静けさが印象的でした。

王のテラスから望むパリ

お城の背後には、テラス・デュ・シャトー(Terrasse du Château)と呼ばれる広大な散歩道が続いています。

このテラスは17世紀に造園家ル・ノートルによって設計されたもので、遠くにパリの街とエッフェル塔を望むことができる絶景スポット。

秋の光に包まれたこのテラスを歩くと、まるで時間がゆっくりと流れているかのよう。

木々の合間から見えるパリのシルエットに、歴史と現在が静かに重なって感じられました。

モーリス・ドニ美術館を訪ねて

城から少し歩くと、緑に囲まれた邸宅風の建物が見えてきます。

ここはナビ派の画家、モーリス・ドニが暮らした家を改装した美術館。

室内には彼自身の作品だけでなく、ボナールやヴュイヤールといった仲間たちの絵も飾られ、温かな色彩が部屋全体を包みこんでいます。

窓の外には、ドニが愛した庭。

光と影がゆらめく木立の間を抜けると、まるで彼の絵の世界に入り込んだような感覚になります。

ドビュッシーの生家と中世の通り

駅へ戻る途中、小さな石畳の道を歩いていくと、クロード・ドビュッシーの生家があります。

小さな音楽家記念館として公開されており、彼が幼少期に使っていたピアノや楽譜が展示されています。

中世の通り「Rue au Pain」を歩く

ドビュッシーの家から歩いて数分、石畳の通り「Rue au Pain(パンの通り)」へ。

この通りは中世から続き、かつて城にパンを届けるためのブーランジュリーが並んでいた場所。

現在も古い家並みがそのまま残り、木製の扉やアイアンの看板が歴史の名残を静かに語ります。

午後の光の中、路地に漂うバターの香りと、街の人の穏やかな笑顔。

時を越えて受け継がれるフランスの日常が、そこにありました。

パスカル・ル・ガックでチョコレートを

Rue au Painの角を曲がると、深いブラウンの外観が目に入ります。

ここはMOF(フランス国家最優秀職人)ショコラティエ、パスカル・ル・ガック(Pascal Le Gac)の本店。

ショーケースには煌びやかなチョコレート

ショーケースには、ガナッシュやプラリネ、キャラメルが整然と並び、カカオの香りが店いっぱいに広がります。

どれも美しく、選ぶ時間さえひとつの贅沢。

選んだプラリネをひと粒口に含むと、静かな甘さと香りがゆっくりと広がり、サン=ジェルマン=アン=レーで過ごした午後の余韻が胸に残ります。

アクセスメモ

パリ・サン=ラザール駅からRER A線で約25分。駅から旧市街までは徒歩5分ほど。日帰り旅にぴったりの距離です。

次回はパリから少し離れた場所を紹介します。

\ Newsletter登録 /

月1回、フランスをテーマにNewsletterをお届けします。Newsletterに登録して、ブログを応援していただけたら嬉しいです♡

よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!

この記事を書いた人

日本を拠点に、ときどきフランスへ。仏大学で西洋史を専攻し、『大人の学び』を続けています。フランス政府公認ガイドを目指しながら、旅と美術、歴史を通してフランスの物語を綴っています。フランス各地で出会った美しい風景と記憶をお届けします。

目次