【フランス地方都市巡り】パリから日帰り、シャンティイ訪問記|城と庭園、そして乗馬で出会う優雅な時間

パリから電車でおよそ1時間。

緑豊かな森に抱かれた街、シャンティイ(Chantilly)を訪れました。

静けさと気品が漂うこの街は、壮麗な城、美しい庭園、そしてフランスらしい馬術文化で知られています。

観光地というより、ゆっくりと「フランスの美意識」を感じるための場所。

今回は、私が実際に体験したシャンティイの魅力を丁寧にご紹介します。

目次

シャンティイ城 ― 芸術と歴史が息づくフランス貴族の館

街の中心にあるシャンティイ城(Château de Chantilly)は、16世紀に建てられ、のちにルイ14世時代のコンデ公が再建した由緒ある城です。

外観は白く気品に満ち、運河に映る姿はまるで水上の宮殿のよう。

内部には貴族のコレクションがそのまま保存され、現在は「コンデ美術館(Musée Condé)」として一般公開されています。

ラファエロの《三美神》、プッサン、アングルなど、ルーヴル美術館にも劣らない名画が並びます。

特に印象的だったのは、窓から差し込む柔らかな光の中で輝く肖像画たち。

静かな空間で、過ぎ去った時代の気配を感じながら一枚一枚を眺める時間は、何より贅沢でした。

フランス式庭園と森 ― ル・ノートルの美が息づく静寂の世界

城を取り囲む庭園は、ヴェルサイユ宮殿の庭を設計したアンドレ・ル・ノートルによるもの。

幾何学的なデザインの中に水路や噴水が美しく配置され、自然と人の手の調和を感じます。

運河沿いを歩くと、遠くに城が見え、まるで絵画の中を歩いているよう。

季節ごとに異なる花々が咲き、春にはチューリップやスイセン、夏にはバラやラベンダーが彩ります。

庭園を抜けると、穏やかな森が広がります。

小鳥のさえずりと風の音だけが響く静かな小径は、シャンティイのもうひとつの魅力。

フランスの庭園文化は「整える」だけでなく、「感じる」ことを大切にしているのだと実感しました。

馬の都シャンティイで味わう乗馬体験 ― 優雅な時間を馬とともに

シャンティイは馬術の街として世界的に知られています。

街には立派なシャンティイ競馬場や馬術博物館があり、古くから貴族の馬文化が受け継がれています。

私は今回、地元の乗馬クラブで初心者向けの乗馬レッスンを体験しました。

穏やかな馬に導かれながら、森や庭園をゆっくりと巡る時間は、日常から完全に離れたような感覚。

馬の歩みに合わせて揺れながら、遠くにシャンティイ城が見えた瞬間、まるで時が止まったようでした。

乗馬が初めての方でも、インストラクターが丁寧にサポートしてくれるので安心です。

馬の背から眺める景色は、地上とはまったく違う広がりを見せてくれます。

シャンティイクリームとともに過ごす午後のひととき

シャンティイといえば忘れてはいけないのが、名物の「クレーム・シャンティイ(Crème Chantilly)」。

この街が発祥とされる、ふんわり軽やかな生クリームです。

城の敷地内や近くのカフェで味わえるほか、庭園の見えるテラスでいただくのもおすすめ。

美しい景色を眺めながら、コーヒーとともに味わうクレーム・シャンティイは、まさに旅の締めくくりにふさわしい時間です。

アクセスと観光のヒント

  • 最寄駅:Chantilly–Gouvieux(シャンティイ=グヴィユー)駅
  • アクセス:パリ北駅(Gare du Nord)からSNCF列車で約25〜30分
  • 駅から城まで:徒歩約20分またはバス(またはタクシー)利用可
  • 観光所要時間:半日〜1日
  • おすすめの季節:春〜初夏(庭園が最も美しい時期)、秋(紅葉が魅力)

ワンポイント

午前中に城と美術館を見学し、午後に乗馬体験やカフェで休憩するのが理想的なスケジュールです。

旅を終えて ― フランスの優雅さを感じる日帰りの贈りもの

シャンティイは、パリ近郊にありながら、まるで別世界のような静けさと美しさを持つ街。

歴史ある城で芸術に触れ、庭園で風を感じ、馬とともに過ごす穏やかな時間。

そのすべてが「フランスの優雅さ」という言葉にふさわしいものでした。

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この記事を書いた人

日本在住の30代。フランス語の通訳・翻訳・日本語講師。フランスの国立大学の歴史学部に在学中。当ブログでは、フランスの旅行・歴史・語学に関する情報を配信しています。海外一人旅歴19年。これまでに30カ国・100都市以上を巡る。フランスは60以上の街や村を訪問。

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