今回はナビ派を代表するモーリス・ドニがどんな画家だったのか、わかりやすく解説します。
モーリス・ドニってどんな画家?
モーリス・ドニ(Maurice Denis, 1870-1943)は、フランスの画家で「ナビ派」というグループの中心人物でした。
ナビ派は、19世紀末のパリで生まれた若い芸術家たちの集まりで、「ナビ」とはヘブライ語で「預言者」を意味します。
彼らは「ただ写実的に描くのではなく、絵にもっと精神性や詩を込めたい」と考えました。
ドニはその中でも特に宗教的・詩的な表現を重んじ、「ナビ・オ・テオクロム(神秘主義のナビ)」と呼ばれていました。
ドニの残した言葉
ドニが20歳の頃に書いた言葉が、彼の絵画にも表れています。
「絵画とは、戦争の馬や裸婦、あるいは何かの逸話を描いたものの前に、色彩で秩序づけられた平らな表面である。」
つまり「絵は現実をそっくり再現するものではなく、まずは色と形が平面上で美しく調和するものだ」という考え方です。
この考え方は、のちの抽象絵画やモダンアートに大きな影響を与えました。
ドニの絵画の特徴
やわらかな色合い:パステル調の優しい色づかい 平面的な構図:奥行きを強調せず、装飾的に配置 宗教や愛のテーマ:神話・聖書・家族愛などを詩的に描く
難しいことを考えなくても、「なんだか心が落ち着く」「夢の中のようにやさしい雰囲気」と感じられるのがドニの描く絵画の魅力です。
ドニのおすすめ絵画
《春》(1891年)
《愛の歴史》(連作)
《カトリックの神秘》(1890年)
※オルセー美術館やサン=ジェルマン=アン=レーの「モーリス・ドニ美術館」で見ることができます。
ドニの作品が見られる美術館
モーリス・ドニ美術館(サン=ジェルマン=アン=レー)
彼の旧宅を改装した美術館。作品だけでなく、暮らしていた空間も体験できる特別な場所です。
オルセー美術館(パリ)
印象派から20世紀初頭の流れの中で、ドニの作品を観ることができます。
まとめ
モーリス・ドニは、「絵画とはまず平らな表面の上の秩序だ」というシンプルな定義を通して、私たちに新しい絵の見方を教えてくれます。難しい知識がなくても、彼の作品を前にすると「静けさ」や「祈りのような雰囲気」を感じられるはずです。
もしパリ旅行で美術館を訪れるなら、オルセー美術館やパリ郊外の自宅跡で、ぜひドニの世界を体験してみてください。